みーくんとまーちゃん2



嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 2 (2) (電撃文庫 い 9-2)


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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 2 (2) (電撃文庫 い 9-2)


著者:入間 人間

販売元:メディアワークス

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 今は急遽体内に摂取したくなって、
 24時間スーパーで購入したリンゴを屠っている。
 なんとなく、まーちゃんの芸術が視えた気がした。
 勿論、嘘だけど。

 というわけで、2巻を読了。
 結果。
 1巻とは路線変わってたけど、面白かった!
 
 とりあえず、1巻では誤解あふれる書き方のとおり、
 作者がどこまで意図して書いているか疑っていた。

 正直な話、予想はもっと下で、
「鬱だとか言ってる学生が色気だして書いたんじゃね?」
 くらいですらあった。
 少なくとも、ちょっとでもそんな感じの噂があったなら、
 おそらく脳細胞が満場一致で支持しただろう。

 だが、この無礼は誠心誠意を持って撤回せねばならない。
 この2巻は、特徴的な掛け合いあそびを生かしつつ、
 サイコ風味を漂わせた一種のミステリに昇華していた。
 少なくとも、確実な意図の含み重ねによって出来ている。
 これは「プロの仕事」だと感じる。

 そして、しっかり面白い。
 謎解きは、一部に確たる伏線がなく、
 主人公の台詞によって明言されるものもあるので、
 読者と一緒に解いていく手のミステリではない。

 その点で相変わらずちょっと面食らう唐突さはあるものの、
 みーくんの穿った視点から繰り出される、
 理論ともはったりともつかないがどこか的確なモノは、
 結構読み手を話に引っ張り込む。

 若干まーちゃんの存在意義が薄いのは問題だが……。
 というか、まーちゃんとのベタつき分を薄めたために、
 みーくんという人物の思考が見えやすくなっているのか。
 前回感じた不明瞭さは、
 キーマンであるみーくんが最後までぼやけている故、
 というのもあるかもしれない。
 まあ、ここがタネの話なので、仕方ないのだけれど。

 そんな部分もあって、今回は1巻にあった独特の毒気、
 (という言い回しは正確かどうかわからないが)
 そのあたりがやや抜けているようには感じる。
 1巻が真に好きな人は、御気に召さないかもしれない。

 しかし、僕は少なくとも2巻で確実に面白くなったと思う。
 とりあえず、衝動でリンゴを買うくらいには。
 しかも二つ。

 でも相変わらず続編は作りにくい形か。
 みーくん周りで攻めるのはそろそろ限界があるかなぁ。 
 展開を変えるとしたら……どうやるんだろうなぁ。
 僕の現在の脳では、ちょっとひらめかないか……。