ガンダム0080 ポケットの中の戦争

機動戦士ガンダム 0080 ポケットの中の戦争 vol.1 機動戦士ガンダム 0080 ポケットの中の戦争 vol.1

販売元:バンダイビジュアル
発売日:1999/12/18
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 ガンダムの中で、どの作品が一番好きか?
 といわれたら、僕はこれかファーストガンダムか、もしくはVガンダムと答える。

 ちなみにSDという回答はかけらも出てこない。どうも、最初に見たガンダムVガンダムだったためか『ガンダムはリアルな人型兵器で、戦争の道具』という認識が強いせいか。好きな人には申し訳ないが、目があったり、人格を持っていたりするのがどうにも気持ち悪いと感じてしまう。

 まあ、それはともかく。
 この0080は、恐らく全ガンダム作品中最高傑作だと思う。
 主人公の少年アルが、戦争というものと向き合っていく課程。
 ジオン兵バーニィの決意。そして、最後の決戦。
 
 ぶっちゃけると、数ある『ガンダム』で、泣いたのはこの作品だけだ。
 ファーストのキャラクターの死は、アムロの教訓的踏み台という意が強いし、Vガンダムの死は、少々過激すぎる。しかし、この0080の死とは間違いなく、死と、それが生み出す悲しみそのものである。戦争で、人が死ぬ。それを非常に端的に表している。サイクロプス隊の面々の死に様。そしてバーニィの壮絶な最後が、それを物語っている。
 
 NT-1アレックスVSザクⅡ改の一騎打ち、そしてその結末から、バーニィの遺言のシーン。最後の朝礼のシーンまでは涙腺が緩みっぱなしだった。それは、主人公アルの感情と同調――したかは微妙だが、キャラクターが確かに生き生きしていて、死んだら悲しいとすら思わせるほど移入度が高かった、逆に言えば高くなるように演出されていた。それはこの作品のドラマ性の高さを如実に表していると言っていい。

 ことMSという名の文字通りスーツを着込むことで、互いが見えないまま戦い、そして終わる最後の決戦は、ガンダムでしか表せない究極のシーンといえる。ひょいほい会話してしまう某SEEDとはえらい違いだ。

 しかし、この作品には、実はその某SEEDと同じくテーマとして「戦争を知らない世代」「中立を取る立場から見た戦争」「反戦」というものが多分に含まれている。しかし、それがあくまでテーマとして据えられているだけで、某SEEDのように「平和一番」みたいな押し売り臭さがない。このあたりのバランスも秀逸。

 少々ファーストガンダムの設定を知っていないと面白くない部分や、そもそもメインのファーストガンダと齟齬を起こしている部分もあるので、万人に進められる作品ではない。だが、逆に言えばファーストガンダムの基本的な流れをある程度知っている人には、是非にでも見て欲しい作品だ。

 強いて、残念な点を上げるなら音楽。
 平和に暮らしていた少年アルをメインにしているせいか、ちょっと軽快すぎてシーンとギャップがあると感じてしまう部分があることくらい。
 しかし、OP「いつか空に届いて」、ED「遠い記憶」とも名曲。
 カラオケに行ったら大抵一回はどっちか歌う……かな。

 ともかく、ガンダムファン必見。
 是非見て最終話で、ぐっと感じてみてほしい。
 全六話、3時間なので、あっさり見れるはず。

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 ちなみにザクⅡ改は、僕が乗って死にたいMSナンバー1です。
 バーニィのように生き、バーニィのように死にたい。マジで。
 これ最初に見たときは、いかにスパロボバーニィ使えるようにするか必死で考えたもんなぁ……。