成恵の9

成恵の世界 (9)

 えー9巻です。
 地味に追いかけてきた漫画も、ここまできました。

 今回は、カバーの折り返しでも作者さん自身が語っているのですが、SF設定部分をいかに上手く消化するかというステップでしたね。もともとこの作品は、自分がどうぶつになったり、過去の先祖がタイムスリップしてきたりという、ライトなSF話を主軸にしていましたが、白鳥座アバロンやら、機族の設定やら、ハードSFもやりてぇ! という作者のフラストレーションが見え隠れしていました。

 個人的にはそれに突っ走ってくれても良かったと思うんですが、ぶっちゃけ、これも折り返しで作者自身がおっしゃってますけど、そういう小難しいのは最近敬遠されるんですよねぇ。だから、今まで「すこしふしぎ」とかいてSFなラブコメをやっていたところが見えたり見えなかったり。そんなわけで、今回は作者さんのやりたいことが一気に出来ているのを感じられて、なんか、読んでて楽しかったですね。

 しかしジェットコースターのようにSF設定のほうを掘り下げていったので、一部ついていきづらいところがありました。理解がおっつかないので、何度か読み直しました(汗)。あれ、『成恵』ってこの調子で読む話だっけ? みたいなところが少しあったので、調子あわせに苦労するかもといったところです。

 というか、ここであっさり風味に書いてにごしているのも、ちょいと語りだすと尺を取る物語展開をしているからでして。

 うーん、キャラクター掘り下げや、学園ラブコメイベントはある程度済ませてきていますし、今後はどう展開しますかね。とりあえず、またちょっと学園パートに戻したあと、ちょっと割り方が濃い目のSFをやっていく路線になる気がしますが……一気に終わらせにくるかなぁ、という気も。

 ま、この人のヒネリ方は大好きなんで、もうちょっと見ていたいというのが本音です。ええ。
 そしてまいどのごとく宇宙鉄人キョーダインとおだぎさん乙です。