シルメリアクリアー(ネタバレ注意!)
ヴァルキリープロファイル2 シルメリア(通常版) 特典 「VISUAL PROFILE 2」付きスクウェア・エニックスこのアイテムの詳細を見る |
しめて43時間少々、我ながらよくやったもんです。
というわけで、レビューをば。ネタバレ注意。
えー、非常に辛口ですが、点数をつけるとしたら55点。
正直、心から面白いとは言えません。前作を5周(ノーマルA・B ハードA・B、あとC)した身としてはいささか悲しいです。
CG、音楽は結構いいのですが、他の部分のお粗末さがちょっと鼻につきました。
順をおって解説します。
・システム。
正直、スキルシステムは面倒くさいです。
「前作のオートアイテムなどとは違い、補助的な役割を果たすもの」ということで登場しましたが、ルーンアイテムの把握が大変です。また、お得意様アイテムの合成素材のことも考えると、到底すんなりやれるゲームではないでしょう。アイテムが多いのがトライエースさんのウリとはいえ……さすがにきびいい。
そして、戦闘システム。
3Dで、相手の動きを見ながら移動するシステムは、まあまだよし。ダイレクトアサルト等も、慣れれば大丈夫というところ。
とはいえ経験値の表示が結局パーティメンバーで頭割りされているのは、やはりぱっと見わかりにくい。
しかし、何よりエインフェリアごとの決め技がほぼ統一されてしまったのは悲しい。そのぶん通常技が充実しているのだけれども、前作はそれぞれ技に個性があって好きだったので、残念。
決め技、あえてフルCG演出せず、戦闘画面上でちょっと派手な視覚効果が出る程度の、前作程度のものでよかったのではないかなぁと思うんですがいかがなもんでしょうか。
あと後半登場ののヴァルキリーたちのニーヴェルンヴァレスティも、ほとんどモーション使いまわしだったのがちょっとなぁ……。
・設定
前作を踏襲していていい感じ。
途中介入者が現れるまでは、ちゃんと前作を補完しているので楽しめた。
ドラゴンオーブが奪取されたいきさつや、ディパン・ゾルデの興亡など。
また、三賢者の不死者化の理由付けもオッケー。
一気に瓦解するのはやはりレザード介入からだろうか。
そのあたりは以下の物語編も含むかも。
・物語
個人的には、素直に前作へと繋げる形にしてくれるとよかった。
前作で謎だった部分が解決をみたのは良かったが、レザード、レナスの過去への介入などは正直詰め込みすぎ。
また、アリーシャがなぜシルメリアと分離したあとも力を使うことが出来たのかとか、ブラムスがなぜあの立ち居地にいたかが少々説明不足。前作ヴァルキリーはその説明不足さが「行間を読む」というゲームとして異色な面白さを出していたのだが、アリーシャ視点で進むという今回の方式では説明不足と妙に早いストーリー展開が鼻につく。
後半の締めかたも強引だし……。もう少し方法があったのでは? と思ってしまう。
あと、アリーシャはアレだけの目にあいながらよく正気保ってるなー。
あれだけのことが立て続けに起こったら、きっと塞ぎこむぞ。
そんなわけで、人物の動きがリアリティに欠けるのも×。
・キャラクター
エインフェリアは声優とモーションの使いまわし&個々エピソードなしなので、感情移入しにくい。使わなければならない場面も少ないしなぁ……。
いや、前作のように個々のエピソードイベントをやるとCGで馬鹿みたいに金がかかるだろうし……。
苦肉の策でこういう形になったというのはあるんだろうけど、せめてオブジェクトリーディングのとき、そのキャラクターのエピソードが語られるとか演出があっても良かった。
前作のエインフェリアたちは、どんな奴らでも「こいつはつかってやろう、こういう過去と信念があるから」とかいろいろ思えたのだけど、今回のエインフェリアは本当にただ単なる戦力。
うーんがっかり。
やっぱりゲームだと「自分が操作する」要素があるために小説や漫画以上にキャラクター性が重要だと思うのですよ。NPCは別にしても。
メインキャラアリーシャはあやふや。
どこまで強い子で、どこまで弱い子かわからない。数々の不幸が襲うも、それを乗り越えるワンクッションがあると盛り上がりが違うのだが……。
嫌いなタイプではないだけに残念。
とりあえず水上神殿のワンシーンはこころをがっちり掴んで離さない。
ルーファスはなかなか面白い設定をしているが、生かしきれず。
いい立ち居地なんだけど、レザードにいいとこ奪われるわ、レナスに喰われるわで散々。同じく嫌いなキャラではないんだけどなぁ。
あ、あとアーリィ。
ハルバード使うか、剣使うかはっきりしたほうがいい。
剣を交える演出からかっこよく戦闘に入って、戦闘画面だと持っているのが槍ってのはちょいとまずいんでないかい。
・総評
FFやドラクエに資金をドレインでもされたんだろうか?
そう邪推したくなるくらい、節約と開発チームさんの苦労が見える。
システム・CG・音楽はよく凝ったが、前作一番のウリだった(少なくとも僕はそう思っていた)物語性とエインフェリアたちほかのキャラクター性が失われてしまっているのは、個人的に残念としかいいようがない。
まあ、ここに書く以上、面白くないわけではない。
最低ラインは保っているゲームだと思う。
なのだが――かなり消化不良の感覚が拭えない。
3作目への布石だろうか?
その割には、前作の補完を考えているし……。
うーん、つまらなくは無いが、素直に面白いとはいえない作品、という評価になってしまうだろうか。
が、この意見は……おそらくゲーム批評としては厳しいものに違いない。