ポーの一族その2

ポーの一族 (2)小学館萩尾 望都このアイテムの詳細を見る




 先日記した精神安定剤というのは、どうも良くない。

 まだ僕が薬になれていないというのもあるのだろうけど、確かに精神的に安定し日常生活は楽になる分、創作とか、読書とか、思考的活動意欲も阻害してしまう感じがある。特に夕方一回飲む薬なので、最も読書や創作に生かせるはずの夜に最もダウナーになる。



 実はこの記事も昼に打っていて、ネット接続可能時間の無駄だから夜のうちにメモ帳に書いておこうと思っても、なかなかキーボードを叩けない。

 うーん。以前から昼のほうが筆が進むということは自覚していたけど、ここまでになったのは……やっぱり薬飲み始めてからか。



 いや単なるプラシーボとか、生来の性格かもしれないのだけれど。ためしに今度安定剤のほうは医者に止めてもらうかな……。



 ――以上、ヘタレのぼやき。





 さて、で、急川さんよりお借りした『ポーの一族』文庫版2巻です。

 さかきさんにもいろいろコメントやトラバでお世話になりましたー。



 で、2巻は基本的に4編収録。

 1話目が、エドガーとメリーベルが如何にしてバンパネラとなったかという「メリーベルと銀のばら」をほか4編を収録している。この「銀のばら」とエドガー記憶喪失編である「エヴァンズの遺書」の兄妹話がメインで、もう2編はエドガーとアランが、バンパネラの足跡を辿るという短編である。

 

 しかし、全く関連がないわけでなく、いろいろ複線が張り巡らされているわけで。1巻とあわせると、良くこれだけ整えた物語を頭の中で構築したなという感じ。



 しかも、この人は主軸となる人物だけでなく、その周りの人々、バンパネラ以外の人々が非常にリアルで、ドラマチックに物語を作っている。バンパネラという超常現象的なものに接し、ある者はそれを追い焦がれ、ある者は謎を解き明かそうとする。

 とくに主軸2編はその辺りが良い。「メリーベルと銀のばら」はそもそも「誕生」の物語であるからともかく、「エヴァンズの遺書」のほうは、なんというか遺書という前提の下、次々と事態が起こっていくという、ミステリー&ホラー的な面を強く出し、それに関わる人々を演出している。

 最後ドクトルとロジャーが、一連のことに関して調べだす終わり方などかなり印象深い。



 技巧的に言えば1巻にくらべて描写が激化――上手い言葉がないが、前回述べた抽象性というかがやや薄らいだ印象を受けた。単純に萩尾氏の漫画になれたせいもあるだろうが……。



 ところで、この本には注釈が入っており、バンパネラが死んだとき、合理的に消滅する方法を模索したことが書かれているが、最終的に「バンパネラが死んだときに異次元が開き、消滅する」という繊細に描かれた作品とは対極の、ブッ飛んだ理論が展開されている。

 ……うーん?

 すこしこの人は分からない。



 ちなみに最後、宮部みゆきがコメントを書いていたりする。

 あんまり読んだことがないのだが宮部さんは――ここで言ってることは、まあ納得。