アップルシード

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 というわけで、予告どおりながーく、なるのかな?

 2004年公開のフルCG映画『アップルシード』です。



 あらすじ。

 主人公デュナンは、優秀な兵士として戦場で戦い続けていた。しかし、そこに現れる謎の強化服<ランドメイド>の部隊。デュナンは包囲されるが、そこである組織に救われる。

 組織の名はE.SWAT。オリュンポスという名の都市を守るために組織された集団だった。人口の半分が、遺伝子的に改良され執着や欲望、愛情など争いの種になる感情、そして生殖機能を抑制された人類<バイオロイド>であるその都市に、デュナンは連れて行かれる。そこでであったのは、全身を機械化していたかつての恋人だった……。

 これだけ書くと、空想科学なんでもありみたいな感じですが、これで綺麗にまとまっているから驚きです。



 作品内容としては、よくできてるなCG、というのが第一印象。最初は違和感があるけれど、動いているうちに気にならなくなる、昔のCGはアニメや実写のなかでかなり浮くので、目が疲れたりしたものですが……。

 シナリオは、士郎正宗氏の漫画版と異なるのですが、実は1巻しか読んでいないので、後半の内容が原作準拠かは不明。とはいえ多脚戦車とかの設定はなかったような気がする(もう結構うろおぼえ)なのでオリジナルでしょうか。とはいえ、いろいろを強引に押し縮めた部分があるので、完全に移入し切れない部分もありました。デュナンがバイオロイドの側で戦う明確な動機とか。まあ、これは最後から少し前のシーンで補完されてますが。



 しかし、それを抜かしても、評価できる作品だと思います。

 人間と、バイオロイド次の地球をになうのは誰なのか。というのが最大のテーマなのですが、これが最後綺麗にまとまりました(いささかご都合的ではありましたが)。

 遺伝子的に強化された人間と、普通の人間の衝突を描いた作品としては最近だとSEEDつながりの某作品がありますが、正直、全然目じゃない。料理のされ方が全然違う。

 こちらでは、人類との共存を願うバイオロイド、人類を終わらせようとするバイオロイド、そしてバイオロイドに懐疑心を描く人間というものがしっかり描かれていて、それが収束していきます。

 ネタばれをしてしまえば、最終的にバイオロイドはバイオロイド開発者が封印した生殖機能のデータ――アップルシードと呼ばれるもの――によって人間と同じ繁殖する能力を得、人類との共存への道を進んでいくのですが……。



 さてそれ以外に、ずっと気になっていたのは、この「アップルシード」というタイトル。士郎正宗氏のマンガを読んだときにはこんなSFモノにあって、なぜ「リンゴの種」なのだろうか? と疑問でした。

 が、今回の作品をみて自分の中で結論が出ました。

 おそらくアップルシードと名づけられた理由は、アップルが指すところがエデンのリンゴ(=男性)であり、種子を宿す果実(=女性)という意味なのではないか。つまり、性と繁殖の象徴的存在であったということではないかと思うわけです。

 で、バイオロイドがそれを行うためのデータが詰まった物品が、アップルシードである、と。



 うーん、この通りだとすると、凝ったネーミングだなぁ。

 これくらい捻ったタイトルを僕も作ってみたいもんです。



 さて、漫画版も読もう。

 士郎正宗氏の作風を考えると、どこかでいろいろ語っていそうだし。