海をみあげて
海をみあげて (電撃文庫 ひ 4-2)
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さて、今回は小説を。
日比生(ひびき)さんの『海を見上げて』です。
雑誌連載3作を単行本化したものです。
内容は、空にクジラが飛んでいる『耳をすませば』。
というか、展開的はほぼまんまですね。
飛行クジラは、大地震のあと現れて空から潮の雨を
降らすといった設定もありますが、結構背景です。
基本はちょっと押しが強いけど素直でない女の子と、
何でもできるけど、無愛想で、夢をもっている少年
のボーイミーツガールが物語の主軸です。
王道中の王道ってやつですね。
安定して読める一本ですし、読み易く、面白い。
ラノベ入門編というか、児童文学あたりからの中継ぎに
いいかんじの小説でしょうか。
ただスゲーと興奮させる面白さではありません。
もちろん、その点は意図されて書かれているので、
まったり一本何か読んでみたい方にはオススメです。
ある種の、独特の面白さを求めている人には、
腹六分目程度になってしまう可能性が高いですが。
でも、普通って大事だな、というよい意味での感覚を
与えてくれる作品だと思います。