みーくんとまーちゃん



嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん―幸せの背景は不幸 (電撃文庫 い 9-1)


Book

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん―幸せの背景は不幸 (電撃文庫 い 9-1)


著者:入間 人間

販売元:メディアワークス

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 小説消化月刊……というか読み読み月刊発動!
 お疲れ様です。自分。

 今回は嘘つきと壊れた。
 確かにこれは物議をかもし出すのもわかる内容だ。
 鬱病をお持ちの方が、色気をつけて繰り出したのか。
 鬱を理解する方が、確信と共に繰り出したのか。
 
 惜しむらくは、どっちも狂人のカテゴリであり、
 少なくとも「なかなか上手い」と思ってしまった僕も、
 同じ共同体に属しているに違いない。
 人物の動き、描写のいやな生々しさには目を見張る。
 ところどころの会話遊びが、気を惹く。

 とはいえ、物語としてみると、最後の畳み掛け方、
 探偵型刑事や、誘拐された二人の希薄は気になる。
 もちろん万事解決みたいな話を望んではいないが、
 なんというか下ごしらえした材料に塩だけ、というか。

 最後、主人公の「実は!」にいろいろ押された格好。
 これは著者の意図でもあるのだろうけど……。
 完結作品としてみると、ちょっとフォローも欲しいかも。
 そのあたり若干リアリティを犠牲にしてもいいかなと。

 またモチーフがモチーフがだけに気持ちよくは読めない。
 確実に人を選ぶ点は、重要。

 まとめると、上手さと不可解さが同居した作品だと思う。
 アリ、ナシで言えば、無論アリだけれども――。
 「狂っている」というのは一種の読者騙しではないか、
 という変な疑念も湧いて、ネガティブに気になってしまう。
 嫌いではないが、絶賛はできないというのが妥当か。
 一冊読むならいいけれど、続けて読むには厳しいかも。

 ――と、思ったら、続巻出るのね(汗)。
 どう見ても一冊で終わらす話なんだけれども。
 どのように切り返してくるかという点では興味深いなぁ。
 ミステリー風味のネタは難しいだろうし、
 かといってこれだけやって「闘病」など書くはずもなし。

 案外不条理な大人たちを相手にガラスを叩き割ったり、
 バイクで国道をハイテンションランするような、
 昭和の青少年的奇行に及ぶというのはどうだろう?
 もちろん、嘘だけど。