海の底
海の底 著者:有川 浩 |
というわけで、「空」とばしました。
有川浩、陸・海・空三部作の内、塩の町=陸を読んだので、じゃあ次は海だ! と(汗)。そんなテンションで。
さて、内容は。
15少年漂流記+ガメラ2レギオン襲来(ガメラ無し)。
謎のザリガニ甲殻生物が大量発生する横須賀!
襲われる市民!
困惑する警察。世論のため動けない自衛隊。
そして、着々と空爆の準備をするアメリカ軍。
そんな中、たまたま近くに停泊していた潜水艦に逃げ込んだ少年少女と、自衛官2名は、謎の生物に包囲されながら救援を待つのだが……!
なんというかね。
すべてがリアリティにあふれてるんですよ。
明らかな異常事態なのに、マスコミの目もあって火器の使用許可が下りない自衛隊とか。ジュラルミンシールドを持って甲殻類と渡り合う機動隊とか。あとは、アメリカの動向を探るべく、ネットの軍ヲタたちと連絡をとって沖縄基地などの動向を監視してみる警察本部の地味ながらも堅実な作戦とか。
すっげージリジリする! うーん。
そして、潜水艦の中では、不良中学生による人間関係のひずみ、被害者最年長の少女の生理問題など、地味ながらに「ああ、閉所でありえるトラブルで難しそうなのはこれだな」とかいうのをチョイスしてくるのもまた(こういっては何ですが)子気味良く緊迫感を煽ってきます。
最後に、本作で最も好きなやり取りを引用。
神奈川県警、明石警部と、警視庁、烏丸警視正の会話より。
会話分のみ、抜粋。
明石「(前略)全線に電磁柵の設置が完了したら、もう少し楽になると思いますが、何しろ今は水と電極でごまかしている状態ですから」
烏丸「電流の案はどこから?」
明石「先人に倣いました。……ご存知ありませんか? ゴジラ」
烏丸「なるほど。さすが先人だ。目のつけどころがいい」
怪獣映画と、ちょっといい話が好きな人必読!
いや、普通に盛り上がったなぁコレ。ちょいと自衛隊が出張ってくるとあっさり解決に向かいすぎるのが気になりましたが、だれにでもお薦めできる一作です。