燃えよ特撮魂!:もう7回目くらい?『ウルトラセブン』超兵器R1号

 さてひさびさの「特撮魂!」は、ウルトラセブンの「超兵器R1号」です。
 
 基本的に侵略者との戦いを描くウルトラセブンですが、
 この回では1つその極まったところを見ることが出来ます。
 一言で説明しますと、
 「侵略者が来る前に、侵略者の星を破壊できる超兵器を作ろう!」
 という、見事に東西冷戦時代をモチーフにした過剰防衛思想です。

 ここから、あらすじ。ネタバレ注意。

 ウルトラ警備隊の隊員達は冒頭からR1号の破壊力に目を輝かせ、
 「これなら地球は大丈夫だ!」と高らかにのたまいます。
 ただセブン=ダンのみ、その異様な光景に不安を募らせます。
 そして仲間のフルハシ隊員に問いかけます。
 
ダン「もし、R1号の存在に気がつけば、敵はより強い武器で攻撃してくるかもしれません!」

フルハシ「なぁに。そのときは、こっちもより強い武器で応戦すればいいのさ」

ダン「……それは、血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ」

 ダンの憂いも空しくR1号の試験発射が敢行されます。
 目標は、科学的に生物が棲めないと判断された星「ギエロン」。
 試射は見事に成功し、ギエロン星は木っ端微塵になります。

 しかし、そこから謎の飛行物体が現れます。
 そう、ギエロン星には、実は生き物が居たのです。
 唯一の生残りがR1号の放射能により変異、怪物化したのです。

 彼、ギエロン星獣は復讐するが如くミサイルの軌道を逆行し、
 途中で小惑星にぶつかってももろともせず、地球に飛来します。
 一度はウルトラ警備隊の爆弾で倒されるも、星獣は復活。
 放射能のガスを撒き散らしながら、東京に進撃を開始します。

 科学者や、隊員達は苦悩します。
 自分たちの手によって星1つを滅ぼし怪物を生んでしまったこと。
 そして、それをどのように倒すかも……。
 結局、1号の数倍の破壊力を持つR2号の使用が提案されるのですが――。

 そこで登場ウルトラセブン
 しかし、小惑星を砕く身体には、アイスラッガーなど効きもしません。
 強靭な身体と、腕から放つ光線に苦戦するセブン。
 腕の付け根が弱いと見切ったセブンは、ギエロン星獣の腕をもぎ、
 最後は全体重で押さえつけて、同じく弱いであろう関節部の急所、
 喉笛を手持ちのアイスラッガーで切り裂くという酷な勝ち方をします。

 まるでギエロン星獣の血のように放射能ガスが噴出し、
 彼はゆっくりと目を閉じ、息絶えます。
 そして、その事件以後R計画の停止提案がなされ、幕となります。

 と。
 まあすっげえ後味悪い話です。舌の裏がざらりときます。

 何より結果として、
 「地球人が、ギエロン星を侵略・破壊してしまった」
 という事実です。
 防衛の極地は「やられる前に……」というのはわかります。
 が、この逆転は、かなり見ている側に衝撃を与えます。

 もちろん、これと現実の核問題うんぬんとはまた別ですし、
 自衛隊とかを非難するつもりでもありません。
(作品としては核批判・行き過ぎた自衛批判要素はあると思いますが)

 個人的にただただ純粋なものとして、
 「守る」
 ということの重さと難しさを強く感じた作品でありました。 

 はてさて。
 セブンはどのような気分でギエロン星獣と戦い、止めをさしたのでしょうか? それを考えるだけでも、十分な面白みがあるように感じます。