「はたらく」ということを掘ったマンガ

働きマン (1)

講談社
安野 モヨコ

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 しばらく更新も停滞しておりました。

 お盆休みってことで。まあ、その間に某夏の祭典に行ってみたり(眉間にしわをよせて、奇襲を警戒するかのごとく、睨むように左右を見ながらシマの間を歩いている人を見た記憶があるなら、それが多分僕です)、いくつかこまごまとしたことがあったのですが。



 さて、こちらはDさんからの借り物です。

 雑誌編集者の話ということで、思わず手を伸ばし、がつがつ読んでしまいました。



 いやー、週間誌の編集は死ぬ死ぬと何度も聞かされてきましたが、ハードですねぇ、うん。特に、新しいネタを常に引っ張って企画にしなきゃいけないゴシップ誌は、編集者は本気で忙しいだろうなぁ……。

 と、あんまりこの辺りを書きすぎるとまたなんか言われそうなんで、素直に漫画批評といきましょう。



 内容・テーマは、タイトルや上に書いたとおり「週間誌の現場に生き、はたらく人々」といったところでしょうか。

 なんというか、社会にいる人をリアルに描いたらこんなかんじ? かな? といった印象。「こんな奴いねぇよ!」と思うかもしれませんが、結構いますよ、実際。



 絵とコマ割りは、正直言わせてもらうと、もうちょっと巻を重ねて安定させて欲しいという感じです。微妙な表情を描けているので、上の内容を理解する分には問題ないんですが、単純な絵としてみた場合、少々雑味アリといった印象です。



 で、肝心の物語。

 リアルさを出すための演出のためか、どうにも後味が悪い回も数本。いやそれがウリではあるんだけれども、一つのラインで見た場合「結局この話のこの部分、どうなったの?」というところがあるのはちょっと気になったか……。ぶっちゃけ、50人の侍企画はちゃんと完結したの? とか。

 あー、言葉を変えましょう。後味というか、歯切れが悪い。

 まあこの点に関しては、無駄な部分をそいでいるという考え方もでき、賛否があると思うのでいたしかたなしかなぁ。



 構成は、基本的に「スタンスの違う人間と、松方(主人公)」という対比で各回を進めていっているので、新しいキャラや、他のキャラクターの一面とかをちょっと出せばそれで物語を成立させられるのは、上手いと思います。

 だらだら続けて「スタンスの違いによるバトル」にすることは簡単だけれども、それをしていない。ヤング誌連載だからこそ出来る方法とも言えるでしょうか。

 この方式の問題はどうやって最後オチをつけるかだけれども、まあ、それは今すぐ気にすることではないでしょうし。





 総評としては、比較的いいと思います。

 いろいろ参考にもなりますし、一読して損なし。