燃えよ特撮魂! 第二回:ウルトラマン『故郷は地球』
鬱からの回帰を狙ってみる。
きょうやっていた東京MXテレビの『ウルトラマン』は、名作と名高いジャミラの回だった。
改めて見直してみるとシーンの繋ぎ方にやや違和感を覚えるものの、やはり名作に違わない回であった。
泣いた。
もはや言うまでもないことかもしれないが怪獣ジャミラは、過去の宇宙開発競争時代の宇宙飛行士。
事故で行方不明になったものの、本国は失敗が外部に出ることを恐れ公表・捜索もせず放置。
そして彼自身は水と空気のない高温の星にたどり着き、その環境に適応してジャミラとなってしまった。
そして、人類に復讐するために、地球へと帰ってきたのだ――。
ジャミラが、ウルトラマンとの戦闘にはいる直前。平和会議の会場に設けられた、ポールに掲げられている国旗をなぎ倒すシーンは、非常に印象的だ。ジャミラが、まだ人間の感性を持ち合わせていることを如実に現すシーンである。確実に意志をもった破壊なのだ。
最後、水に弱いジャミラが、ウルトラマンの容赦なきウルトラ水流によって倒される最中も、彼はのた打ち回って抵抗する。そのたびに地面の泥を巻き上げる。そしてその泥は、ジャミラがへし折った国旗を、さらに汚していく。
そして、最後ジャミラはまだ汚れていなかった「アメリカ」の国旗を握りつぶそうとしたところで息絶えるのだ……。
(補足:ジャミラの故郷はいくつか説があるのだが、実際の絵では確かにアメリカの国旗だった)
……。
イデ隊員が、非常にいい味を出していた。
ハヤタ&ウルトラマンは、今回、他の人類のために非情な決断&制裁を下す側だったのだが、その対比としてイデが光った。
彼はパリ本部の隊員、アラン――こいつがまたいかがわしい外国人風に喋る(笑)――から聞かされたジャミラの真実、そして世界平和会議を襲おうとするジャミラを倒せという指示に激怒し、こう宣言する。
「僕には出来ない! 彼はぼくらの先輩じゃないか!」
これは科学の解明者という意味であろう。イデは特に、特捜隊での技術屋でもあるので、この台詞は深い。
そして、世界平和会議の会場を襲撃しようとするジャミラに、さらにイデはこう叫ぶ。
「ジャミラ。お前、本当に人間の心までなくしちまったのかよ!」
言葉面だけなら、極めて単純。多くの子ども向け番組で言い尽くされてきたものだろう。しかし、イデの立場・ジャミラの背景もろもろを踏襲することによって、これ以上ない効果を出している。
最後、国旗ポールが修復された平和会議会場には、ジャミラの石碑が作られる内容は「戦士ここに眠る」的なもの。
最後、イデは科特隊の面々が踵を返す中、その石碑を見つめる。
そして心の中でこう呟く。
「犠牲者は、いつもこうだ。文句は美しいけれど……」
イデ、あんた良いよ。最高だ。
……。
ジャミラの回は、ウルトラマンのなかでも文句なくお勧めである。
一度ご覧あれ。